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<診療報酬改定> 胃ろう削減に本腰 ~抜去も評価~

2014年3月26日

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厚生労働省が示すデータによると、日本での人口100万人当たりにおける胃ろう造設患者は約650人となっており、英国の造設患者のおよそ10倍にあたる。今回の診療報酬改定では胃ろうの在り方を見直し、造設数の削減、及び嚥下機能の回復、抜去することも推進していく方向性を打ち出した。

胃ろうを造設する背景には、「急性期病院からの退院には、『胃ろうが必要』」という考えがある。転院するにしても自宅へ戻るにも、「誤嚥性肺炎を防ぐため、胃ろうさえ作っておけばとりあえず安心」「栄養補給路が確保され、一時的に生命の危機は回避できる」という意識が未だ根強いためだ。

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胃ろうを増設する主な原因疾患は、中枢神経疾患、精神疾患が多く、特に誤嚥性肺炎、脳血管疾患、脱水・低栄養、認知症が多い。だが嚥下機能訓練により、経口摂取可能となる症例が一定数存在。全体の約24.3%が経口摂取に戻る可能性があるというデータも存在する。

しかし回復の見込みがあるにも関わらず、これまでそのような患者について、自院でも退院先でも嚥下機能訓練を行っていない施設は11.9%と一定数あった。また介護保険施設に入所した患者のうち、胃ろうを使用しなくなった割合は全体の2.3%にとどまっていた。

造設点数大幅減、50件以上で減算

「胃ろう造設術」は現行の1万70点から、大幅減となる6070点となった。「胃ろう造設時嚥下機能評価加算」(2500点)も新設し、術前に嚥下機能検査を実施、かつ検査結果に基づき十分に説明・相談することが必要。造設術の評価を見直すとともに、胃ろう造設時の適切な嚥下機能検査を行うことを評価する。

 

年間の胃ろう造設術件数については、年間50件を目途に線引きを行った。50件以上では、80%分の報酬しか算定できなくなる。ただし50件以上であっても、(1)術前に嚥下機能検査を実施(嚥下造影または内視鏡嚥下機能検査に限る)、(2)経口摂取回復率35%(鼻腔栄養・胃ろう造設患者の回復率)を満たした場合、通常通り算定することができる。また意識障害等があり検査が危険、顔面外傷により嚥下が困難、などどいった場合は、対象患者から除くことができる。

 

今後は、胃ろう造設の必要性、管理方法、閉鎖の条件等を患者だけではなく家族にも説明することが義務付けられる。他医療機関に患者を紹介する場合は、嚥下機能等の情報提供を実施しなければならない。

専従STで加算、経口摂取を評価

また今回の改定では、高い割合で経口摂取に回復させている場合の摂食機能療法の評価として、「経口摂取回復促進加算」(185点)を新たに設けた。「摂食機能療法」(185点)に関しては、点数の変動はなかったものの、先述の経口摂取回復促進加算とともに算定できる要件を新たに設定。

 

施設基準は(1)専従の言語聴覚士(ST)1名以上、(2)経口摂取回復率35%以上。また算定要件に関しては、「月に1回以上嚥下造影または内視鏡嚥下機能検査を実施」などが加わった。カンファレンスを行う場合、「月に1回以上、医師、リハビリテーションを行う言語聴覚士等を含む他職種による」という条件のもと、実施することが定められた。

 

またすでに胃ろうを施した患者に対しても取り外していく方向性から、「胃ろう抜去術」の項目を新設。胃ろうカテーテルを抜去し、閉鎖した場合に2000点を算定することができる。

経鼻経管増加か、慎重な意見多く

「胃ろうの是非に関しては様々な議論がある。

 

医療法人社団紫蘭会(富山県高岡市)では、年間数例胃ろう造設を行っている。笠島學理事長は、診療報酬改定は減算になったものの、それしかないあるいは最善の方法であれば積極的に行っていく方針に変わりはないといい、「今後は中心静脈栄養など、胃ろう以外の方法にシフトするのではないか。STは4~5名いるがパートも多く、あと1、2名いないと経口摂取専従のSTを確保できない。今後配置を検討しており、摂食機能療法、経口摂取回復促進加算を算定していきたい」と話す。

 

また医療法人社団富家会メディカルホームふじみ野(埼玉県ふじみ野)の大竹裕施設長は、胃ろうの代わりに、経鼻経管が増えると予想する。実際に経験したこともあるという大竹施設長は「経鼻経管は見た目も変わり、顔を洗うこともできず、非常に苦しい。管を抜きたい葛藤に駆られ、長期で利用を考えたとき、胃ろうの方がいいことも多い」「経鼻経管をしたまま、嚥下訓練をするのは非常に違和感がある。胃ろうをつけて体力を回復し、嚥下訓練することも一つの手段だ」と述べ、さらに「患者や家族への説明をしっかり行うことが大切。その上で、福祉用具と同じように使用を検討できる議論が必要ではないか」と慎重な姿勢を見せる。

 

今回の診療報酬改定は、「胃ろうは悪」という意識が透けて見える。これまで、「延命のため」という理由から安易に胃ろう造設し、元に戻すことを考えていなかった。だが単に削減ありきではなく、患者や家族との話し合いを通じ、適切な使用を模索していくべきではないか。今後も引き続き胃ろうのあり方を議論していくことが必要だろう。

引用:高齢者住宅新聞 第296号

ニュース記事への相談員コメント

篠川相談員

胃ろうは必要?

点滴を打っている方、鼻腔栄養をされている方、IVH(中心静脈栄養)をされている方など、嚥下がうまくいかない場合には、このような方法で栄養を摂られていますが、治療の必要性がなくなり療養の状態となった患者が退院を告げられ、在宅で看れる家族がどのくらいいるのでしょうか?

 

老人ホームの選択肢

ほとんどの方は寝たきりの状態であり、完全介護・介護が必要になられているため、ご家族が不安になり老人ホームへの入居をお考えになられます。

しかし、老人ホームは医療施設ではないため、上記のご状態になられている方の受け入れは難しく、可能である老人ホームでも看護師が24時間常駐しているため人件費が高くなり、普通の老人ホームよりも月額利用料が倍近く高い所になってしまいます。

そのため、病院においてもその現状を分かっているので、管理がしやすく感染症のリスクが一番低い胃ろうという選択肢を選び、何とか退院→老人ホーム・在宅への道筋を作ります。

胃ろうであれば、看護師が24時間いない老人ホームでも受け入れる所は出てきますので、ご家族の費用負担は抑えられ、在宅ではなくプロに任せようと考える方も多いかと思われます。

(※痰の吸引の有無やその頻度により受け入れの可否は変わります。)

 

胃ろう造設のその後

胃ろうを造設される方の中には、老人ホームではなく療養型病棟に移られて回復を待たれる方もおります。 延命がご家族にとってどのように考えるかにもより是非は異なるかと思いますが、少ないながらも胃ろうにされた後に言語聴覚士(ST)、歯科医、看護師によるリハビリにより、経口摂取が可能となり造設した胃ろうをはずされる方もいると聞きます。

そのような方は稀なのかどうか。胃ろうの受け入れを積極的に行い、STを配置し嚥下訓練を行う施設においてはそのような方の話があることも聞きますが、一体どの程度、実現しているのか。

(ある老人ホームでは10~20人に1人、2人と聞きました。)

また、胃ろうを選びながらも生活動作についてはできるようになり、不自由がありながらも生活を送れるようになる方もいるのも確かです。

 

在宅介護では胃ろうによる栄養摂取のためにかなりの時間が割かれてしまい、それ以外にも通常の介護が必要になりますので、大変な労力が必要になると聞きます。

 

胃ろうが悪かどうかと言われれば、悪ではないと思いますし、生存できる確率を高める選択肢だと思います。しかし、退院させるために安易に胃ろうにするのであれば、それは悪に近いものになってしまうのではと思います。

 

制度や法律で胃ろうという選択肢を医師が積極的にやらないことで、どういった選択肢が残されるのか、各医療機関の今後の判断はどうなるのか、今回の動向が気になるところです。

今回の記事によると経口摂取に向けての対応への保険点数も変更があるため、医療機関が積極的に経口摂取のリハビリを行う方針で入院期間を過ごせるようになれば良いかと思います。そのような場合、胃ろうは選択肢の一つになるかと思いますが、医師が点数が低くなったから促さないようにはなって欲しくないものです。

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